グレゴリオ聖歌について


グレゴリオ聖歌 セミオロジー

9 世 紀 以 降 の 聖 歌 写 本 に 見 ら れ る 音 楽 記 号 を ネ ウ マ (n e u m a ) といいます。当初はグレゴリオ聖歌のリズムを,後に旋律をも表すようになりました。グレゴリオ聖歌セミオロジー(Gregorian S e m i o l o g y ) は , グ レ ゴ リ オ 聖 歌 の 解 釈 の た め に ネ ウ マ 記 号 の 意 味の解明に努める学問です。音楽古文書学の知見を用いつ つ,その手法や問題提起を越えて,美学的な問題や実際の演 奏のあり方に取り組んでいます。ネウマ譜を記す最古聖歌写本群を基に,それらが留めるリズムの ニュアンスや聖歌におけ

る「ことばと音の関係」を探求します。 グレゴリオ聖歌セミオロジ ーによって,グレゴリオ聖歌のリズムが拍節に基づくリズムではなく, テキストから生まれたリズム であり,テキストと旋律とは比類なく共生していることが明らかになってきています。まさしくグレゴリオ聖歌は言葉の芸術で あると言えるでしょう。